2014年3月30日日曜日

消費税の本当の目的とは・・・何か??

 ※この記事は、くまっしぃジャーナル収録記事「マスコミ報道はすべてフィクションである」の中から、消費税について書かれた部分を抜き出して大幅に加筆し、新しい記事に仕上げたものでしー。
くまっしぃジャーナルの元記事の他、「社会主義を卒業しよう」という記事も、ぜひあわせてお読み下さいでしー。


消費税と『景気の良し悪し』は関係ない


くまっしぃジャーナル「マスコミ報道はすべてフィクションである」にて述べた通り、マスコミで報道される内容は、事実に基づいてはいるが、フィクションばかりである。

政府の実施する様々な政策には、「本音と建前」というものがあり、表向きの説明と、本当の目的は全然違うことが当たり前にある。
マスコミの報道は、そうした建て前を正当化するためのフィクションであることが、かなり多いのだ。

こないだ東京に行って、国会じぎどーも見てきたでしー

最近のマスコミ報道で、特にフィクションぶりがひどいと思うのが、「消費税増税」に関する報道だ。
いわく「消費税を増税すると、景気が落ち込むので、景気対策が必要だ」などという大ウソを、平然と報道している。

この何気ないワンフレーズには、間違っている点が2つもある
まずひとつは、消費税を増税したからと言って、それで景気に影響が及ぶことはありえないし、次に、公共事業や減税を行なったとしても、それで景気が上向くということもまた絶対にありえない・・・ということである。

増税にしても景気対策にしても、いずれも「景気への影響はプラスマイナスではゼロ」・・・というのが、経済学的に正しい答えである。

なぜなら、増税によって庶民から吸い上げられたお金は、政府が別のところで福祉などに使うことにより、また社会の中に還元されて戻っていくものだからである。
つまり、社会全体でのお金の流れは、増えもしなければ減りもしないので、景気への影響はプラスマイナスでゼロ・・・ということになるのである。

もう少し説明をすれば、もちろん庶民の収入は増税の分だけ減るので生活は苦しくなるのだが、税金の支出先となるゼネコンや福祉関係の企業などは同じ分だけ儲かることになるので、社会全体で使われるお金の額は変わらない・・・ということなのである。

これは、経済を考えるのには、非常に重要な視点である。
景気が良くなったり悪くなったりするのは、ひとことで言って、「社会全体のお金の量」が、増えるか減るか・・・という問題だからだ。
(※個別の家庭の生活が、良くなったり悪くなったりするのとは、また別問題である。)

逆に、景気対策として国債を発行して公共事業を行ったりすることも、同じく景気に対しては何の効果もないことは強調しておくべきだろう。
なぜなら、景気対策のためのお金というのは、国債の発行なり増税なりで、民間のお金を吸い上げて集めてきたお金だから・・・である。

つまり、国債を発行すれば、銀行が民間に貸し出そうとしていたお金が国債の購入にまわされることになるので、その分だけ民間に出回るお金は減ってしまうのだ。
そして、その国債で調達されたお金は、公共事業で再びゼネコンなどの民間企業にバラまかれ、民間に戻っていくわけだ。

極端な言い方をすれば、景気対策とやらを実施しても、ただ「中小企業への貸出資金が減らされて、その分だけ公共事業でゼネコンが儲かる」ということが起こるだけのことで、やはり社会全体でのお金の流れは、プラスマイナスでゼロなのである。

このことを、経済学ではクラウディングアウト効果というが、こんなことは経済学の基本中の基本であり、ちょっと考えれば誰にでも分かることだ。
政府の景気対策が何の効果ももたらしていないことは、おそらく皆さんが実感としてよく分かっていらっしゃるだろう。

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景気の良し悪しを決めるのは『金融政策』である


繰り返しになるが、景気が良くなったり悪くなったりするのは、世の中で流通するお金の量が増えるか減るかに左右されるのである。
そして、そのお金の流通量をコントロールしているのは、政府の役割ではなく、日銀を中心とする「金融システム」の役割になるのだ。

消費税や政府の経済対策によって、個々の家庭が、生活が苦しくなったり逆に恩恵を受けたり・・・といった影響を受けることはもちろんあるのだが、それによって世の中全体の景気が影響を受けるということはありえない・・・のである。

ちなみに、1998年に橋本内閣が消費税を増税した際に、景気が急激に悪くなったことは有名な話だが、あれは本当のところ消費税とは関係なく、金融の世界で問題が起こったために不景気になったのである。

この時期の景気後退は、「金融収縮」と呼ばれる社会全体のお金が減少するメカニズムが働いたために起こった・・・というのが事実であり、これはまた世界的に連動した現象でもあった。
同時期に、日本の消費増税とは関係なく世界中の国々が経済危機に見まわれ、お隣の韓国などは事実上の経済破綻をしているのだ。

そして一方で、小泉内閣の時と、現在の安倍内閣で行われている「アベノミクス」において、景気回復が起こったのは、政府が、日本国内に流通する「お金の量」を増やす「金融政策」を行ったからである。
決して、公共事業でお金をバラまく「経済政策」の効果ではない。

小泉内閣の時なんて、公共事業はもとより、政府のあらゆる予算を削りまくっていたのに、経済自体は好調だったじゃないか。

小泉内閣が、繰り返し「消費税の増税はしない」と公言しつつ、公共事業や政府の予算を削りまくっていたのは、内閣の中枢ブレーン(竹中平蔵とか)が、金融政策で景気が回復して税収も増えるということを、ちゃんと知っていたからである。

ちなみに、普通の経済対策とは違って、「金融政策」というのは、政府がただ日銀に命令を出すだけで済むので、税金を1円も使う必要がないことも、特筆しておくべきであろう。

国会じぎどーって、間近で見ると、意外と怖いよね



大企業だけを救済する“経済対策”・・・そして、フィクション報道は確信犯


もっとも、このことで私が言いたいのは、消費税の増税が何も問題ないということではなく、実際にはまったく効果のない「経済対策」というものが、あたかも景気対策に効果があるように偽装して報道・宣伝されている・・・ということなのである。

政府の「経済対策」というものが景気の落ち込みを防止するというのは、まったくのフィクションであり、その実態は、増税して庶民から巻き上げたお金をゼネコンや大企業に注入する・・・ということに他ならないのである。

そして、よく知らずに間違った理論をタレ流しているならともかく、大元でシナリオを書いている人たちはちゃんと事実とはかけ離れていることが分かっていて、確信犯的にそのような誤った理論を流しているのであるから、これは完全なフィクションであろう。

核心部に居るマスコミ関係者や経済学者は、もちろんちゃんと分かっていてこうしたフィクション報道に加担しているし、一方で大多数の現場レベルの人々は、脳天気に何も分からずに動かされている・・・のが実態だと思う。

要は、マスコミマスコミの御用学者たちは、政府の方針を都合よく実施・宣伝させるために、国民を信じさせるためのストーリーをデッチ上げてタレ流しているのである。


消費税導入の本当の理由とは・・・庶民に税金を払わせるシステムを作ること


ところで、消費税を導入したり、税率を上げる理由として掲げられている、「国家財政が足りない」「福祉予算が足りない」という説明も、もちろん建て前であり、フィクションである。

小泉内閣がそうしたように、金融緩和政策を打って世の中に流通するお金を増やせば、景気が良くなって税収も増えるため、財政状態もすぐに好転することは、今まで述べた通りだ。
それなのに、金融政策そっちのけで、増税だけを断行しようとするのは、明らかにその裏に別の目的があるものと考えられる。

消費税の本当の目的というのは、建て前で言われるような「少子高齢化社会に備えた福祉予算の確保」ではない。
本当の目的は、低所得者・・・つまり一般庶民から税金をとって、その分だけ金持ちの税金を減税する・・・という税の構造の転換にあるのだ。

どういうことかというと、少し前までの日本は、高収入の金持ち層から税金をごっそりふんだくって、一般国民からはほとんど税金をとらずに国家運営をする・・・という社会主義政策をとってきた。
日本の金持ち層を代表する竹中平蔵氏が常々ボヤいているように、「日本では年収400万円以下の家庭では、税金は事実上かからない」のである。

これは、もちろん保険や年金を除いて計算してあるので、フェアとは言えないと思うが、それでも、子どもが居る家庭では扶養控除などを活用すれば、事実上、税金はかかっていないも同然になる・・・というわけである。

一方で、金持ち層には、 ちょっと前までは、収入の75%を所得税として徴収する他、相続税やら固定資産税やら様々な手段で、財産を巻き上げる社会構造になっていた。
(※なぜ、日本がこのような社会になったのかは、くまっしぃジャーナル「社会主義を卒業しよう」を参照のこと。)

実際、かつての日本政府の税収は、ほとんどが金持ちと大企業から徴収した税金で運営されていたわけで、一般庶民の収めた税金はごく一部に過ぎなかったのである。

ところが、1980年代頃から、日本のこのような社会体制を改革しようと、国営企業(国鉄や電電公社)の民営化であるとか、売上税(=消費税)の導入などが次々と検討されるようになってきた。
これは、社会主義的な国家システムを見直し、より資本主義的なシステムへの移行をはかる動きである。

なぜ、資本主義システムへの移行を進めるにあたって、消費税の導入ということになるのか??
・・・仮にも、自由選挙を導入して「民主主義」を建て前としている我が日本国において、金持ちには減税して庶民に増税するなどという政策が、正面切って実行できるはずがない。

そこで、不公平感を薄めるために、金持ちにも庶民にも等しくのしかかる「消費税」というものを導入して、一方その裏で目立たぬように、金持ちに対する減税を行うことにしたわけである。

この方法なら、金持ちにも消費税の数%分は増税になるが、庶民に気づかれぬように所得税は何十%も減税してやるので、うまく帳尻があって、金持ちには減税しつつ、一般庶民にも税金をしっかり負担させることができるようになるわけである。

所得税が何十%も減税してもらえるなら、消費税の数%アップくらい、金持ちにとっては痛くもかゆくもない。
一方、所得税に対しては、扶養控除や住宅ローン控除や色々な控除があって、まけてもらうことができるが、消費税というのは庶民からもまったく手加減なしにキッチリ徴収できる税システムなのだ。

要するに、一見すると誰にでも同じ税率がかかるので、金持ちにも庶民にも平等なシステムのように見えるのだが・・・それはあくまでも建て前に過ぎず、本当のところは、庶民に税金を払わせるためのシステムなのである。

つまりこれは、一般の人々にはあまり気づかれていないと思うが、国の税収入の構造を転換する一大事業だったのである。

かくして・・・バブル崩壊以降の20年以上もの年月をかけて、消費税を導入したり、保険料や年金料をアップしたりして、庶民の税負担はどんどん上がっていき、金持ち層の負担は引き下げられていったのである。


政治家や官僚の大部分も、理屈を吹きこまれて動かされているだけ


なお・・・消費税の導入や増税を進めた政治家のほとんどは、財務省の官僚によって財政上の危機などを言葉巧みに吹きこまれて操られていただけで、このような本当の目的が分かっていたわけではないと思う。

しかもたちが悪いことに、実は財務省の官僚もそのほとんどが、経済や金融の本当の仕組みをちゃんと分かっていないので、さらにそのバックの政治勢力から操られていただけであろうと推測される。

つまり、消費税の導入にあたって表で立ち回っていた政治家や官僚は、本当のところは何も分かっておらず洗脳されていただけで、おそらくは竹中平蔵氏に代表されるような「確信犯」の政治勢力に動かされているわけなのである。

今回の消費税増税を決めた野田前総理にしても、自分の意志というよりは、どうも財務省の官僚とかに洗脳されていたようだし、それ以外にも色々な政治的圧力がかかっていたのではないだろうか。

ちなみに、消費税の導入がまるで悪いことのように書いていると思われるかも知れないが、あくまでそういうつもりではないことをお断りしておく。
まぁ・・・貧乏な私としては、消費税を払うのは確かにツライので、恨み節がこもっているのが正直なところだとは思うが・・・。

それでも、私は「社会主義を卒業しよう」などと呼びかけているわけだし、「庶民にやさしい社会主義システムを守れ!!」・・・などと言うつもりはない。

いずれにしろ、私の立場から言えば、「金融システムというものが崩壊に向かっている今、税金のシステムをどうこうしようという争い自体がナンセンス」なので、社会主義も消費税も論外なのである。


日本の保守層は、消費税にどこまで本気なのか??


ところで、ここまで踏み込んだことを書いておきながら、消費税導入の本当の理由については、まだまだ分からないことが、いくつかある。

金持ち層の代表である、竹中平蔵氏や小泉政権・安倍政権が、消費税増税にはあまり積極的ではないように思えるからである。

彼らは、金持ちから税金をたくさんとって庶民からはあまりとらない「社会主義システム」を変更しようとして、これまで激しく画策を続けてきたので、彼らこそが、消費税の導入をしかけた中核勢力なのかと思いきや・・・どうもその態度は煮え切らない。

考えてみれば、もともと彼らの大きな目標は「小さな政府」といって、政府の規模を縮小して、その分、税金を安くする・・・特に金持ちの税金を安くする・・・というものである。

小泉政権の時以来、気づかれぬようにこそこそと、金持ちへの減税と庶民への増税をし続けてきた彼らであるが、消費税を上げすぎれば金持ちにも大企業にも負担となるので、できれば税率を上げたくはないはずである。

実際に、安倍さんは、いつまでも「消費税増税」を明言せずに、迷うそぶりをし続けていたし、竹中平蔵氏も、「安倍さんは、本当は消費税を上げたくないはずだ」と明言している。

でも、安倍政権は、現実には消費税増税を決定したじゃないか・・・と言われるかも知れないが、もともとそれを決定したのは、安倍さんの前の野田政権であり、谷垣自民党総裁なので、実のところ安倍さんには事実上は決定権がなかったのである。

消費税増税を止めるためには、「景気が良くない状況であれば」という条件がついていたのだが、景気を良くする「アベノミクス」を旗印に政権を奪い取った安倍さんとしては、「景気が悪いから消費税増税をやめます」とは、口が避けても言えるわけがなかった。
もしそんなことを言えば、アベノミスクの効果を自ら否定することになって、政権の命取りになってしまうからだ。

なので・・・私としては、彼らが消費税増税にどこまで本気なのか、まだ測りかねているので、微妙な推測表現になってしまったことをお断りしておきたい。

つまりは、恥ずかしながら、消費税増税を本気で仕掛けてきている政治勢力というのが、イマイチどこがその中核になるのか、つかみきれていないので・・・その消費税増税の目的もはっきりと断定しきれないところがあるのである。

何しろ、日本では保守もリベラルも、本来の政治スタンスとは真逆のことを平気で主張するものだから、非常に分かりにくい。

普通は、左派勢力(リベラル派)が消費税を導入して福祉の充実を推進するものなのに、日本ではリベラル派が消費税に反対したり、そうかと思うと今度は、リベラル派だと思っていたグループ(野田政権)が消費税増税を進めたりする・・・。

しかも、生活日用品の税率を安くする「軽減税率」というシステムを導入すれば、消費税は一転して金持ちに厳しい税システムになる可能性を秘めているので、話はますます複雑になってくる。

それに前述の通り、減税を主張する人々も、増税を主張する人々も、結局はその後ろ側に居るエリート官僚集団から洗脳されて言わされているだけなので、ますます実態がつかみにくいことになっているのだ。

どうも・・・最初は保守勢力が、社会主義システムを転換するために消費税導入をしかけたところを、リベラル勢力からのカウンターで消費税の本質が骨抜きにされそうになって、せめぎ合っている・・・というのが妥当な実態なのかも知れない。

つまり、左派リベラル勢力は、「思い切って消費税率をアップさせる替わりに、低所得者層への福祉充実を行い、軽減税率の導入を進める」ことによって、金持ちの武器だったはずの消費税を骨抜きにして、逆に金持ちに厳しい税システムに転換しようとしている・・・と見ることができるように思う。

結局、最初は「金持ち優遇、庶民に増税」のために導入されたはずの消費税が、骨抜きにされて、左派の武器としても利用されてしまい・・・・今では、左右両勢力の激しい勢力争いのバトルフィールドとなっている・・・ということではないのかと推測しつつ・・・記事を締めくくりたい。

また見極めがついてきたら、いずれかの機会にお知らせしていきたい。

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